あの夜、制服のままで‥

今日は部活がきつくて、帰った瞬間、制服のままベッドにバタン。
髪もボサボサだし、靴下すら脱いでなかった。
でも、それくらいクタクタだったの。
……目が覚めたとき、部屋の空気が少し違ってた。
ぼんやり目を開けたら、ベッドの横に誰かが座っていて、心臓が跳ねた。
「起きた?」
声の主は、幼馴染だった。
昔はよくうちに来てたし、合鍵もあったから不思議じゃないはずなのに、
そのときの彼の目は、なんだか見慣れない光を宿してた。
「制服のまま寝るなんて、無防備すぎだろ」
そう言いながら、私の前髪をそっとかきあげて、
制服の襟元に指を滑らせてくる。
ドキッとした。
でも、止めることができなかった。
気づかないふりをして、私は目を閉じた。
指先が胸元に触れたとき、
スカート越しに感じるぬくもりが、じわりと伝わって——
「…起きてるくせに、黙ってるの?」
くすっと笑う声が、やけに耳に残った。
気づかないふりなんて、もう通用しなかった。
いつからだろう。
彼を「幼馴染」として見られなくなったのは。
あの夜、制服のまま、私は彼の手に委ねてしまった。
本当は怖かった。けど、それ以上に嬉しかった。
心も体も、境界線をひとつ越えてしまったみたいな夜だった。
…ねぇ、これって恋なのかな。
それとも、もっと違う気持ち?
次はちゃんと起きて、彼の目を見て、答えを聞いてみたい。
女の子ページへ